はじめに:なぜ禁煙に挑戦したのか
僕は長いあいだ禁煙を試みては失敗してきました。
「やめたい」と思う気持ちはずっとあったけれど、現実には何度もタバコに戻ってしまう。そんな繰り返しでした。
きっかけの一つは車の買い替えです。これまでローンなしで乗っていたのに、買い替えで月々4万円の支払いが発生することになりました。
「だったらタバコ代を浮かせて相殺すればいい」という大義名分ができ、禁煙に踏み切りました。
でも、本音を言えばもっと前からわかっていました。
喫煙しない人の方が仕事も運動もパフォーマンスが高いし、社会的評価も高い。
「吸わない方がかっこいい」──これはずっと胸にあった気持ちです。
禁煙で得られた変化
禁煙をして1年。生活の中で明らかに変わったことがあります。
- 「タバコを吸わなければ」「買わなければ」「喫煙所を探さなければ」が消えたことで、生活が驚くほどシンプルになった
- 匂いを気にせず人と会えるようになった
- 1日100分近くをタバコに奪われていたことに気づいた(吸う時間だけでなく、買う・探す・考える時間も含めて)
結果として、脳のリソースをもっと建設的なことに使えるようになりました。
禁煙は「健康になること」だけが目的ではなく、「生活が楽になること」なんだと実感しています。
あなたはどんな時に禁煙を決意しますか?
ここで問いかけたいのは、「あなたはどんな時に禁煙を決意しますか?」ということです。
経験上、ただ「やめよう」と思ってやめられる人はほとんどいません。
モチベーションだけで挑むと、必ずと言っていいほど失敗します。
禁煙のモチベーションが高まった瞬間こそ大事なのは、「設計する」ことです。
設計ができれば、たとえその後モチベーションが消えても、仕組みの力で禁煙を続けられます。
ドーパミンデトックスとしての禁煙
僕が実践したのは「ドーパミンデトックス」という考え方をベースにした禁煙です。
タバコに限らず、悪習慣はすべて脳の報酬系(ドーパミン)に紐づいています。
つまり、やめるためには「意志力」で戦うのではなく、ドーパミンの流れを設計し直す必要があります。
そのために行ったのが、以下の3つの設計です。
1. ゴール設計
禁煙を「ただやめること」ではなく、「こうなりたい自分になるため」と再定義しました。
僕のゴールは以下の4つでした:
- 他人に匂いを気にせず生活する
- タバコにとらわれない生活
- 健康不安からの解放
- 吸わない方がかっこいい自分になる
ここで大事なのは、「なりたい自分をイメージすること」です。
イメージできなければ、意志力だけに頼ることになります。
また、失敗はするものだとあらかじめ認識しました。
「悪習慣断ちは一度で成功しない。何度でもチャレンジするものだ」と。
これも大切なマインドセットです。
2. 環境設計
環境が誘惑を作ります。だから徹底的に変えました。
- 喫煙具はすべて捨てる(アイコスだったので経済的にも大きな痛手だが、逆に再購入のハードルになった)
- タバコとセットになりやすいお酒もやめた
- コーヒーと一緒に吸う人は、まずはコーヒーも断つ方がいいと思う
「意思」ではなく「環境」で吸えない状況を作ったことが大きな支えになりました。
3. 行動設計
禁煙初期の最大の敵は「トリガー」です。
- 最初の1週間はとにかくトリガーを避ける(喫煙所に近づかない)
- 1週間を過ぎたら、逆にトリガーを“攻略”する(目に入ってもスルーして「クリア」する)
- 吸う自分をイメージしない(脳内でイメージするだけでドーパミンが分泌されてしまうため)
実際、毎日通る会社の喫煙所やコンビニは全く気にならなくなりました。
一方、観光地など「久々の喫煙所」に遭遇したときには無性に吸いたくなった経験があります。
しかし、一度スルーしてしまえば、その喫煙所はもう二度と「吸いたい場所」にはならない。
この「トリガークリア方式」はとても効果的でした。
習慣は「忘れる」ことで完成する
禁煙3ヶ月を過ぎたあたりから、「禁煙○日目」と考えることもなくなりました。
気づけばタバコを思い出さない日々が増え、1年が経っていました。
悪習慣断ちは「我慢して戦う」よりも、「忘れて自然に手放す」ことがゴールです。
そのために必要なのが、ゴール設計・環境設計・行動設計の3つの柱でした。
おわりに:これは概要編です
今回は禁煙1年を振り返りながら、ドーパミンデトックスの観点で「悪習慣断ちのメソッド概要」をまとめました。
ただし、本当に大事なのは細部です。
たとえばストレスマネジメント、環境の具体的な作り方、禁酒やスマホ断ちへの応用など──一つ一つ掘り下げるテーマがまだたくさんあります。
今後はそれぞれを個別に記事化していき、最終的には「悪習慣断ちの体系」としてまとめていきたいと思います。
ここまで読んでくださった方は、ぜひ次回も楽しみにしていただければうれしいです。
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